遠心圧縮機

・ターボ機械とは

ターボ機械とは、流体を用いて機械と流体の間でエネルギーを変換する機械を指し、大きく軸流・斜流・遠心の3つに分けられます。遠心型は加圧された流体を遠心方向に出力するものを指します。本研究室では、遠心型を対象として、企業との共同研究を行っています。

・背景・目的

遠心圧縮機は自動車や航空機のターボファンエンジンなどに用いられています。現在,遠心圧縮機は広い用途で使用され,ワイドレンジ・高効率化・高圧化が求められています。

画像参照元 https://www.honda.co.jp/jet/innovations/04/

・乱流解析について

現実で見られる流れの多くは乱流で、渦は分裂により小さく変化して最終的に粘性によって熱エネルギーになり消滅します。乱流解析手法は主に、RANS、LES、DESがあります。

RANSとは、レイノルズ平均モデル(Reynolds Averaged Navier-Stokes)のことを言います。非定常な現象である乱流現象の時間を平均化する操作をレイノルズ平均といいます。乱流モデルを用いて近似を行い、レイノルズ平均を取った方程式に乱れの影響を示すレイノルズ応力を求めます。現在航空エンジンやおよびガスタービンの設計段階において一般的に使用されている定常解析手法です。

画像参照元 https://www.cradle.co.jp/media/column/a304

LES解析とは、ラージエディシミュレーション(Large Eddy Simulation)のことで、主に乱流解析に用いられる手法です。計算格子(メッシュ)のサイズに応じて渦をふるいに掛け、メッシュよりも大きい渦は直接計算され、小さい渦はモデル化して解きます。直接計算される大きなスケールのことはグリッドスケール(grid scale,GS)、モデル化される小さなスケールのことはサブグリッドスケール(subgrid scale,SGS)と呼ばれます。しかし、計算負荷がRANSと比べて高くなります。

画像参照元 https://www.cradle.co.jp/media/column/a304

DES解析とは、壁から離れた渦のシミュレーション(Detached Eddy Simulation)のことで、RANSとLESを組み合わせたハイブリッドモデルです。乱流エネルギー kと 乱流消失率 ε を用いて表される乱流スケールという渦の大きさを表す指標を用いています。乱流スケールは次のように計算されます。こうすることで、壁の近くの小さな渦ではRANS、壁から離れた渦が大きい領域ではLESへ切り替えて計算します。

画像参照元 https://www.cradle.co.jp/media/column/a349




遠心圧縮機ベーンドディフューザにおけるはく離を伴う非定常内部流動の数値解析

遠心圧縮機では、インペラ(羽根車)とディフューザの干渉の影響により、安定していない(非定常)流れ場が生じます。非定常性は流れ場の物理的性質および遠心圧縮機の性能に重大な影響を及ぼす可能性があり、 複雑な非定常内部流動現象を理解する必要があります。本研究では、ベーンドディフューザ付き遠心圧縮機を解析対象とし、URANS 解析、DES 解析を用いた数値流体解析を行い、遠心圧縮機の内部流動場における非定常流動のメカニズムを調査しています。




低比速度遠心圧縮機における複雑三次元内部流動場の LES 解析

遷音速遠心圧縮機の内部流動について数値解析を行っています。研究目的は遠心圧縮機の性能予測精度の向上です。遠心圧縮機では、遠心力およびコリオリ力が作用するため、二次流れが強く境界層はく離が発生します。翼端漏れ流れとの干渉も相俟って、複雑な内部流れ場を呈し、数値解析による空力性能の予測は難しくなります。この研究では、複雑な三次元内部流動場を詳細に解析することで、高精度に空力性能を予測ができる方法について調査します。